精神科医、家族は不登校にどう対応するべきか?

発達障害

不登校児への対応

不登校児への対応として、いくつかのポイントを箇条書きにしてみました。これは私が精神科医としてまだ経験が浅い頃に学んだことをひたすらにメモしていたものです。これがどの患者にも当てはまる、という訳ではないと思いますが、ひとつの参考としてご覧ください*

休学中の子どもとの関わり方

・「学校に行くか行かないか」ということを本人に質問しないように。
 「学校に行く」と本人が言い出すまでは言わない方がいいだろう。
・通信簿などみせて反応みるのはあり。見るのを嫌がるようなら、
 もうしばらく学校の話はやめるべき。
・友達と接する時間、外へ出歩く時間を増やすことは有効。
 本人の抵抗がないなら家にいる時間を減らせるならその方が良い。
・多少のゲームセンター、スマホゲーム、SNSなどは多めに見てあげる。
 場合によっては非行仲間、悪友との繋がりができることもあるが、
 それも一つのきっかけづくりとして理解を。

復学後の子どもへの接し方

・本人が学校に行きたがるなら行かせるべき。
・当分はテストの点数は悪いことが予想される。
 その点を本人にも説明し、点数が悪くとも咎めないことを事前に伝えておく。
 (無理に良い点数を取っても後に下がる可能性が高い。最初は0点で良い)
・勉強しても頭に入らないような精神状態ならば、勉強が自信喪失に繋がる。
 このような状態なら勉強はしない方がいい。

テストに関する声かけ

・不登校児はテストへの不安が強い人が多い。
 「名前だけ書いて白紙で出してくるように」と
 事前に両親や担任、主治医が話してあげることも大切。
・まず一回、白紙でいいから受けてみると次はもっと楽に受けられるようになる。
・受ける癖をつけておけるならその方が良い。

不登校児への登校刺激はダメなの?

・登校拒否の場合、無理に登校刺激をしない方が良いと言われる。
 多くのケースでは登校を促すほどに事態が悪化し、ますます登校できなくなる。
・しかし、進級や卒業は治療に大きな影響を与えることもあり、
 無理にでも試験を受けさせたほうが良い場合もある。
・試験さえ受けていれば、あとは学校側に配慮をしてもらうのみ。
・大学の場合は卒業すると所属がなくなるため、
 就職が決まるまで留年してでも在籍する方が良い。

不登校児の転校ってありなの?

・壮絶ないじめなどが原因の場合、転校がプラスに働くこともある。
・ただ、ケースによっては転校する前に元の学校へ一旦戻り、
 そこで適応できる自信をつけるのもあり。
 そして自信をつけてから転校するのも一つ
 (挫折したま転校しても心の傷がずっと残ってしまう)

不登校児の留学はあり?

・留学は時期が大事。
 「すっかり落ち着き、高校生になってから」であればok。
・しかし、一度つまづいた経験のある人は環境変化で再度つまづきやすい
・相当に精神状態が安定してから行かせることが望ましい。

不登校児の思考って?

・一旦つまづいてしまうと、
 それまで言われるがままに取り組んできたこと全部に疑問が生じてくる。
・つまづいてることの問題と、
 それまでの生き方や考え方に対する疑問の両方が一挙に出てきてしまう。
・「人生の大事な問題は進級・進学してから考えればいい」という人もいるが、
 本人にとっては「大事な問題」を解決しないと勉強する気にもなれないし、
 学校へ行く気にもなれない。
 つまり、親と子は逆に考える傾向にある。本人の苦悩に耳を傾けてあげる必要がある。
・長年に渡り繰り返し不適応を繰り返すと、次第に何事にも自信や意欲が湧かなくなってしまう
・「おそらくつまづくだろう」ということは次々させないほうが良い
  (無理に学校へ行かせる、受験をし直すなどは控えることが得策)
・たいてい留年が決まる時期は秋頃。この頃は特に自信を喪失しやすい。
 親としては今まで頑張ったということを認めてあげる姿勢を。
 この時期に不適切な対応や無理をすると4月以降も不適応を繰り返すリスクが高まる。

不登校からの脱却

・長年の低迷後にその状態から脱却できたとき、
 その反動で高揚気分となり無理をしすぎることもある。張り切りすぎは疲れに繋がる。
・最初は抑え気味くらいでよい。

登校させたい気持ちにするには

・学校に行くまでには段階があることを理解する。
・まずは外出することから始め、「学校」「勉強」という話は一切しない。
・本人が受け入れられそうな事柄から誘っていく。
・冗談を言ったり、楽しい雰囲気にすることで気持ちが外へ向いていく。
・気持ちが向いてくれば、最初は近所の外出から(人目の少ない夜からでも可)。
 車でのドライブなどもok。
 出かけるだけで疲れるのは当然。少しづつ増やしていき慣れていく。

不登校児の病院受診について

・「根掘り葉掘り聞かれるのは嫌」「病院には行きたくない」などと語っている場合、
 まだ病院には行く段階ではない。
・「話したくないことは無理に話さなくて良い」ことを伝える。
・それですぐに行くことはないだろうから、上記のようにまずは家庭の対応を変えていく。

精神科医Pちゃんまんってどんな人?

美人すぎる精神科医Pちゃんまん。ハイパーな精神科救急病院での後期研修を経て、精神科指定医および精神科専門医を取得。日々の臨床業務の中で学んだこと、気になる論文、おすすめ参考書籍などを紹介していきます。

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