せん妄に有効な睡眠薬について
せん妄予防やせん妄治療にラメルテオン(ロゼレム)やスボレキサント(ベルソムラ)などの有効性が謳われるようになっています。精神科医なら誰しもその効果を実感はしているでしょうし、今更議論するべきところではないかもしれませんが、実際に実施された臨床研究を確認していきたいたいと思います。以下は、順天堂大学の八田耕太郎先生を中心とした臨床研究になります。
ロゼレムおよびベルソムラはせん妄に有効
論文:J Clin Psychiatry.2019 Dec 17;81(1):19m12865.
対象:せん妄の危険因子を有する948人の患者
目的:
実臨床におけるラメルテオンとスボレキサントのせん妄予防効果を検討することを目的とした。診察前夜にせん妄のリスクがあるがせん妄のない患者とせん妄のある患者の両者において、ラメルテオンとスボレキサントがせん妄予防に影響を与えるかどうかを検討した。
方法:
多施設共同前向き観察研究は,2017年10月1日から2018年10月7日まで,リエゾン精神医学のトレーニングを受けた精神科医によって実施された。65歳以上で急性疾患または待機手術のために入院し,せん妄の危険因子を有し,診察前夜に不眠またはせん妄があった患者に対して,ラメルテオンおよびスボレキサントのいずれか、または両者を処方した。服薬の判断は各患者の裁量に任された。主要評価項目は、DSM-5に基づく最初の7日間のせん妄の発生率とした。
結果:
せん妄リスクがあるがせん妄を起こしていなかった患者526人において、ラメルテオンおよびスボレキサントのいずれか、または両者を服用した患者は、服用しなかった患者よりもせん妄の発症率が有意に低かった。(15.7% vs 24.0%; オッズ比 [OR]=0.48;, 95% CI, 0.29-0.80; P = .005)。なお、せん妄を発症していた患者422人においても同様の結果が得られた(39.9% vs 66.3%、OR = 0.36、95%CI、0.22-0.59、P < .0001)。
まとめ
せん妄リスクの高い患者のせん妄予防において、ラメルテオンおよびスボレレキサントは有効である。
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