【論文】成人のPTSDに対する心理療法:ネットワークメタ解析

PTSD

PTSDに対する心理療法は何が有効なのか?

論文:Psychol Med.2020 Mar;50(4):542-555

内容
背景:
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、トラウマにさらされた人々のかなりの少数が罹患する、慢性的で身体的障害の可能性のある障害である。様々な心理学的治療が有効であることが示されているが、それらの相対的な効果は十分に確立されていない。

方法:
成人のPTSDに対する心理的介入について、系統的レビューとネットワークメタ解析を実施した。アウトカムは、治療後と1~4ヶ月のフォローアップにおけるPTSD症状の変化スコア、治療後の寛解などであった。

結果:
90の試験、6560人の個人、22の介入を対象とした。エビデンスの質は中〜低レベルであった。眼球運動脱感作と再処理(EMDR)[標準化平均差(SMD)-2.07;95%信頼区間(CrI)-2.70~-1.44]、somatic/cognitive therapies(SMD-1.69;95%CrI-2.66~-0.73)、トラウマフォーカス認知行動療法(TF-CBT)(SMD -1.46;95% CrI -1.87 ~-1.]、サポート付きセルフヘルプ(SMD -1.46; 95% CrI -2.33 to -0.59)が治療後対待機リストで最もPTSD症状の軽減に有効であると考えられ、次いで非TF-CBT、TF-CBTと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用、SSRI、サポートなしのセルフヘルプ、カウンセリングの順であった。EMDRとTF-CBTは、1-4ヶ月のフォローアップで持続的な効果を示した。EMDR、TF-CBT、サポート付きセルフヘルプは治療後の寛解率を改善した。その他の介入については、結論が出ないか、限られた証拠に基づく結果であった。

結論:
EMDRとTF-CBTは、成人のPTSD患者において症状の軽減と寛解率の改善に最も効果的であると思われる。また、治療終了時点以降も症状の改善を持続させることに有効である。成人のPTSD患者に対する心理療法の長期的な比較効果や、PTSDの重症度や複雑さが治療成績に与える影響については、さらなる研究が必要である。

精神科医Pちゃんまんってどんな人?

美人すぎる精神科医Pちゃんまん。ハイパーな精神科救急病院での後期研修を経て、精神科指定医および精神科専門医を取得。日々の臨床業務の中で学んだこと、気になる論文、おすすめ参考書籍などを紹介していきます。

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